【京都 vs 熊本】 ウォーミングアップコラム:京都の守備の整理と、染谷悠太にかかる期待

2017年10月13日(金)


京都が3試合連続して無失点と、守備の立て直しが順調に進んでいる。吉野恭平がセンターバック(CB)に起用された影響も大きいかも知れない。でも、こちらの意見としては守備の考え方が整理されてきた点も見逃せないのではないか、と思う。

第35節・千葉戦の前半、左サイドのスペースを使われ、右CBの染谷悠太(写真)がカバーに出ていったところにクロスを入れられヒヤッとする場面があった。もちろん逆サイドの石櫃洋祐が中央をカバーリングをしていたので大きなピンチにはならなかったが、試合後日、染谷自身がその点を指摘し「カバーに行くことで中央を空けてしまった」と自省していた。

その自省を聞いてこちらは、ボールに行くべきか、それともゴール前を意識すべきは実は難しい判断だが、チームのやり方が整理されてきて、それが個々の選手に浸透し始め、プレーの基準ができ始めている、という感じを強く受けたのだ。

誰がボールに行くのか、誰がゴール前を守るのか、これまでの京都はこれらが未整理だったからゴール前でスペースが出来ていた。それが一つの考え方で収斂されてきている感じだ(「シーズン終盤では遅すぎる」と言われればそうなのだが……)

守備時での「ボールサイド」と「ゴール前」の選手配置、これには様々な考え方がある。京都で一番特徴的だったのが大木武監督時代(2011年~2013年)だと思う。
大木監督は守備に入った時に「ボールに行け!」と強く言っていた。それは「ボールに行くことで周りの選手のマークが決まる」という意図もあった。
例えば、相手サイドバックに京都のサイドハーフが行ったとする。それに合わせて、FW、ボランチ、サイドバック、センターバックまでマークが決まる。相手サイドバックが横パスをすれば、マークしていた京都の選手が即ボールに喰らい付く。相手がワンタッチでどこかにパスを出せば、それに合わせて京都の選手もすぐにマークにつく。
こうして人を捕まえることで守備をしていた。ゴール前は逆サイドの選手がカバーに入る。時にはボランチがゴール前に戻ってくることもあった(ボランチの秋本倫孝選手(当時)が戻って防いでいたことも多々あったはず)。

つまり、ボールサイドには「ボールに近くにいる選手が次々とボールやマークに行き、周りの選手も積極的に関わりに行く」ことになり、ゴール前は「それに関わっていない選手がカバーする」様な形になる。

染谷を観ているとその守備がまだ体になじんでいる様に思えていた。だから、染谷のカバーリングには迷いがなく、それ自体は評価しても良いくらいだが、染谷がボールに行った後のゴール前は、周りのカバーリングの意識が薄いため、スペースが多くなる。

これは、決して染谷だけの責任ではない。「チームとしてどう守りたいか」が明確でないから、守備の修正が場当たり的になってしまうのだ。それが、徐々に「チームとしてこう守っていこう」という基準が整理されてきて、個々のプレーをチームの基準に照らし合わせて評価する様になってきた。だから、冒頭の染谷の自省の内容をプラスに評価したいのだ。

守備の整理が進んでいると言っても、問題はまだある。
例えば、相手サイドバックにボールに入った時に、「すぐプレッシャーに行くのか」、「自分たちの状況を整えてボールに行くのか」は今でも、選手個々の判断の様に観える。

それに付随して、相手が逆サイドへ展開する状況をどう守るのか。千葉戦では逆サイドのスペースを上手く使われた感がある。これは、岐阜戦、徳島戦でも似たような場面はあった。逆サイドへの展開だけでなく、中央に寄せられサイドを使われるとか、守備陣形全体を動かしてくるチームも多くなってきている。そんな相手に、どういう意図を共有して守るのか、詰めなければならないことも多いだろう。

一気に解決できる訳ではないので、まずは、こまめに声を掛け合い、話し合い、互いに意思疎通をして、ということが大事になるのではないか。そうした意味でも、染谷にかかる期待は大きい。一歩一歩でも進んで欲しいと思う。

文:武田賢宗(京都担当)


明治安田生命J2リーグ 第37節
10月14日(土)15:00KO 西京極
京都サンガF.C. vs ロアッソ熊本