【横浜FC vs 甲府】 ウォーミングアップコラム:たび重なる怪我から這い上がった川﨑裕大。J1仕込みの「シンプルな守備」で横浜FCを昇格に導く

2018年6月23日(土)


プロ選手である以上は怪我とは無縁でいられないが、川﨑裕大(写真)ほど若くして怪我に苦しめられてきた選手もそうそういないだろう。

横浜FC泉ジュニアユースで育ち、成立学園から流通経済大へ。大学3年次に総理大臣杯優勝、4年次にも2年連続で関東学生選抜に選ばれている。「あのころまでは怪我なんかほとんどしたことがなかった」と順風満帆に思えたが、4年次の後半は足首の負傷が長引き、チームが総理大臣杯とインカレの2冠を達成するのをベンチから応援した。

2015年に広島に加入。しかし3月に右大腿前面筋損傷で全治8週間。そして決定的だったのが、7月の左アキレス腱断裂だった。全治5か月。復帰後、2016年3月に患部の血腫除去の手術を受け、さらに4月には再断裂に見舞われて全治5か月。「2年契約のほぼ2年を怪我してるヤツなんかいないですよ(笑)。絶望しかなかったですね」と川﨑は当時を振り返る。

それでも契約は更新され、昨年にはルヴァンカップの6試合に出場。しかし、「アキレス腱を断裂してから、それまで全然なかった肉離れに」たびたび見舞われるようになる。8月に期限付き移籍で横浜FCにやってきたときも肉離れからの回復途上。新天地でレギュラーの座をつかもうと練習に励み、9月9日の第32節・金沢戦で途中出場の6分間ながら横浜FCでのデビューを飾るが、その翌週の練習に彼の姿はなく、復帰までまた約1か月。結局、終盤は第41節でベンチ入りするだけにとどまり、「本当に怪我がもったいなかった。自分のプレーをすべて出せなかった」と唇を噛んだ。

完全移籍して臨んだ今年。不運にもというべきか案の定というべきか、またしても負傷でキャンプから出遅れた。「キツかったですよ。もう、何しても怪我するんで。筋トレしても怪我するし」。しかし幸い、開幕には間に合いベンチ入り。今のところ大きな怪我なく4試合にスタメン出場し、「最近はサッカーやりながら体が順応してきてるので、大丈夫かな」と手応えを感じている。

それに伴い、パフォーマンスも上がってきた。前節の岡山戦は出色の出来。鋭い出足で相手を潰し、岡山のチャンスの芽を摘み続け、「球際、相手を潰すこと。やるべきことができた」と胸を張った。「試合に出られるようになって、やることが自分の中ではっきりしてきた。結局、『ディフェンスはシンプルにやれ』って、広島で偉大なる先輩方に言われた通りなんですよ。怪我したりでいろいろ考えすぎてたのが、1周回ってやっとその意味が分かってきたかな」と、言葉からは充実感が漂う。

今節対戦する甲府は攻撃陣が好調だけに、川﨑にかかる期待は大きい。「しっかり潰して、シンプルにつないで、自分たちのリズムを作りたい」と闘志を燃やしている。見据える先は、広島では一度も立ったことのないJ1のピッチ。実は昨年、「広島に戻る道もあった」という。「でも言いました。『横浜FCで勝負したい』って。地元ですし、思い入れもある。この前、小さいときの写真とか探したら、横浜FCのユニフォームを着てたんですよ(笑)。試合に出て、横浜FCでJ1に上がって、このユニフォームを着てピッチに立ちたい」

怪我に苦しめられ続けたからこそ、今、川﨑裕大は試合に出られる楽しさと、選手として頼られる喜びを誰よりも感じながらプレーしている。希望としては彼の活躍でJ1に連れていってほしいのはもちろんだが、その前に、とにかく怪我なくシーズンを終えてほしいと願わずにいられない。

文:芥川和久(横浜FC担当)


明治安田生命J2リーグ 第20節
6月24日(日)14:00KO ニッパツ
横浜FC vs ヴァンフォーレ甲府

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