【新潟 vs 金沢】 ウォーミングアップコラム:チームのために、戸嶋祥郎は走って、走って、走りまくる。

2018年9月14日(金)


無駄走りは、ある種、美徳としてとらえられる。パスが出てきてもこなくても、スペースに走ってパスコースを作り、味方が使えるスペースを作る。あるいは守備の局面。鋭く寄せる、プレスバックする、カバーリングする。走らないことには始まらないが、走れることは何より大きな武器となる。

筑波大学から今シーズン、アルビレックス新潟に加入した戸嶋祥郎(写真)は、チームの誰にも負けない走力を持つ。開幕前のキャンプで見せたタフネスぶりは強烈だった。持久力を問われるフィジカルトレーニングでの走りっぷりが、J1時代、トラッキングデータの走行距離でリーグ上位を独占する勢いだった加藤大に引けを取らないものだったからだ。

1年目で、しっかりポジションをつかんでいる。リーグ第13節大分トリニータ戦から、20試合連続フル出場中。昨年、関東大学リーグのMVPに輝いたときもそうだが、本来はトップ下やサイドハーフといった攻撃的なポジションでプレーする。だが新潟ではチーム事情から、まず出場機会を得たのはボランチだった。

チームのために走り続けられる戸嶋だが、ボランチの挑戦はキャンプからということもあり、勝って知ったる、というわけにはなかなかいかなかった。そこに、チームの低迷が輪を掛ける。献身のランニングも、無駄に終わることが増えていった。

前々節の愛媛FC戦で連敗を6で止めたチームは、前節の岐阜戦で8試合ぶりの勝点3を挙げた。ヘッドコーチの立場で暫定的に率いた2試合を含め、片渕浩一郎監督となって5試合目の勝利は5-0の快勝。右サイドハーフで先発フル出場した戸嶋が51分に決めたプロ初ゴールは、チーム4点目だった。

「ある程度、試合が決まって、相手が意気消沈した中での得点。もっと拮抗した展開でも決める力を付けたい。ただ、前半3-0だからといってOKじゃないという雰囲気がチームにあって、そこで駄目を押せたのは良かった。勝利にもっと貢献したいし、自分のゴールも増やせていければ」

前節は、その運動量を最も理想的に生かすことができた。それは、チームのサッカーが明確になったことを物語る。

「岐阜戦は走る量プラス質というところを、一番、体現できたかな、と思います。ただ動くだけではなく、どう動くかにフォーカスできた分、運動量を良い意味で目立たせることができた。相手も味方もいる状況で、相手にやりづらさを感じさせられたのでは」

その言葉通り、右サイドバックの川口尚紀との連係はすばらしく、スペースに飛び出せば後方からパスが送り届けられ、サイドに開いてスペースを作れば、すかさず川口がインナーラップするといった多彩さで、決定機を何度も作り出した。守備でもグループがジャストのタイミングでボールにアタックするための鋭い寄せを徹底。走りの量と質は、最後まで落ちることがなかった。

「岐阜とは違うサッカーをしてくる相手に対しても、もっと力を発揮したいし、質を良く、量も増やしてプレーしたい。僕たちは、続けなければなりません。連勝することが、今は本当に重要な意味を持つ」

監督交代など再編を余儀なくされたチームで、シーズン途中から副キャプテンも任される。走るルーキーが満足するのは、まだまだずっと先のことだ。

文:大中祐二(新潟担当)


明治安田生命J2リーグ 第33節
9月15日(土)19:00KO デンカS
アルビレックス新潟 vs ツエーゲン金沢
デンカビッグスワンスタジアム(アルビレックス新潟)
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