【清水 vs 磐田】 ウォーミングアップコラム:一発退場した昨年の悔しさは忘れていない。森保ジャパンも期待の左SB・松原后は、1年間での成長を証明できるか。

2018年10月6日(土)


今季もいよいよ終盤戦に入ったところで迎える伝統の静岡ダービー。清水も磐田もまだ残留争いに足を突っ込むリスクがある中での戦いなので、ピッチ内外の白熱ぶりはいつも以上のものになりそうだ。
また昨年からの因縁という意味でも、注目すべき点は多い。昨季は奇しくも同じ第29節に同じアイスタで両者が対決し、磐田が3-0で完勝。それによって清水は本格的に残留争いに巻き込まれることになった。その完敗の大きな一因となったのが、左サイドバック・松原后の前半終了間際の退場だった。相手選手の挑発に激昂した松原が思わず手で突き飛ばしてしまい、一発レッド。前半は1点差だったが、1人少ない清水は有効な反撃ができず、逆に2点を追加されてしまった。
試合後、退場した松原が1人でグラウンドを周り、涙を流しながらサポーターに深々と頭を下げていた姿は、清水サポーターの記憶に強く刻まれている。

あれから1年。松原自身は、メディアに対して闘志むき出しの発言をすることはあえて控えているが、ダービーでの雪辱に向けて着々と自らを成長させてきたことは間違いない。

「去年までは自分がムカついたら相手に向かっていってましたが、カードをもらったら周りにも迷惑をかけるし、いちばん損するのは自分なので、かなり気をつけるようになりました。もちろん、強い気持ちを持って相手と戦うというのは自分の良い面だと思いますし、それをなくす気はないですが、その気持ちを良い方向で生かしていこうと思ってプレーしています」(松原)

昨年はイエロー4枚、レッド1枚を受けた松原だが、今季は第14節・湘南戦(4-2で勝利)で警告を2回受けて退場になった以外は、イエローもレッドも1枚もない。まだ完璧ではないが、感情的になって警告を受ける姿は見られなくなっている。
そんな今季の松原に対して、彼の持ち味である攻撃面で「強引さや荒々しさがなくなって物足りない」と感じているサポーターもいるようだが、それには別の理由もある。

「今年は相手に研究されているなというのは最初から感じています。縦を切られて、サイドハーフも戻って守備をしてくる場面が多くなってきたので、自分もプレーを変えていかなきゃいけないなと。とくに浦和戦(第8節)では(研究されて)自分のプレーが全然できなかったので、左足1本じゃ無理だなという思いが強くなって、今まで以上に右足も使えるように練習しています」(松原)

松原が強引に縦に突破していくシーンが昨年ほど多く見られなくなってきたのは、彼自身の問題というより相手の研究や対応による面が大きい。そんな中で、周りとの連携を磨いてワンツーで裏に飛び出したり、縦だけでなく中に切れ込んで右足でもクロスを送ったりと新たなチャレンジを見せるシーンは間違いなく増えている。
そうした取り組む姿勢にも、昨年のダービーでの経験は生きている。

「前よりも自分を客観的に見られるようになったかもしれないですね。熱い気持ちもあるんですが、自分が何をするべきか、どうプレーしたら自分がうまくプレーできるか、そういう部分を冷静に考えられるようになってきたと思います。今年に入って(相手に研究されて)少し壁ができた中で、自分自身と向き合っていろいろ考えて、時間はかかっているけど乗り越えるために少しずつ前に進めていると思うので」(松原)

守備でのミスも減り、細かいポジショニングなども良くなって、攻撃面だけでなくサイドバックとしての総合的な能力も着実に増している。本人も「良い方向に進めている」という手応えがある中で、いよいよ迎える雪辱の舞台。
かつて清水で活躍した韓国人ストライカー、チョ・ジェジン(2004~07年)が言った「ダービーは戦争だ」という言葉を、金子翔太ら若い選手たちも引用し、今やチームの合言葉のようになっている。当然、松原自身もいつも以上に気持ちが入るだろうし、いつも以上に感情的になりやすい条件は揃っている。

そんな中で彼が熱さと冷静さを両立させて、この1年で大きく成長した姿を見せられれば、チームは残留争いどころか一桁順位に向けて大きく前進することができる。もちろん松原自身にとっても、A代表入りに向けて大きな自信と飛躍につながるはずだ。

文:前島芳雄(清水担当)


明治安田生命J1リーグ 第29節
10月7日(日)15:00KO アイスタ
清水エスパルス vs ジュビロ磐田
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