【東京V vs 岐阜】「この試合からも何かを吸収したい」田村直也が最後まで伝えたい飽くなき探究心。

2019年11月23日(土)


クラブ創設50周年の大節だった2019年、東京Vは『J1昇格』を至上命題としてきたが、残念ながらすでに達成できないことが決まってしまった。無念さは非常に残るが、立ち止まるわけにはいかない。
11月22日、永井秀樹監督の来季続投が公式に発表された。目指すサッカーへのこだわりが人一倍強い監督だけに、現在のスタイルからの方向転換は一切ないだろう。その意味では、この試合も来季への大事な積み重ねの1ゲーム。内容、結果を徹底的に追求していく。

その中で、個人としても“大節”を迎える選手がいる。田村直也(写真)だ。10月31日に今季限りでの現役引退を発表しており、この試合を最後にプロサッカー選手生活にピリオドを打つ。
ジュニアユース時代から東京Vのアカデミーで育ち、ユースまで在籍。トップ昇格を果たせず中央大学へ進学し、ベガルタ仙台でプロ入り、7シーズンを過ごしたのち、2014年に古巣・東京Vへと戻ってきた。以後6シーズン、試合に出る、出ないにかかわらず、常に1日1日、文字通り“全力”でサッカーに取り組んできた。その姿勢に、携わってきた歴代監督、コーチ、スタッフ、チームメイト、そしてサポーターの誰もが敬意の念を抱いている。
一方で、そうした姿勢は、「仙台時代や東京Vに来てから出会った素晴らしい先輩方が、当然とばかりに示してくれたからこそ」と田村。尊敬する先輩、自分の姿勢を見て「見習おう」と引き継いでくれる後輩たちへの感謝の思いは強い。

今節、ここ最近左のサイドアタッカー(サイドバック)で起用されていた山本理仁が出場停止となる。となると、布陣をどのように構成するかと考えた際、田村のメンバー入りは十分考えられる。今季はここまで8試合に出場、第25節(7月25日)vs栃木SC戦以来出場機会は得られていないが、ここ2試合連続でベンチ入りをしており、「前節の試合も、(展開によって起用するのは)プランの中には十分あった」と、永井監督も口にしている。また、同監督は現役時代も共にプレーしており、その印象を「職人」と表現する。「直也は、対人に強く、守備のところの責任感が非常に強い。気持ちを前に出せる選手で、最近は年々少なくなってきているタイプの貴重な選手。今の自分のサッカーの中では、後ろの4枚でならどこを任せても大丈夫」と、信頼も厚い。とはいえ、勝負の世界。「功労者としてのリスペクトはありますが、もし彼がピッチに立つとしたら、それは、彼の普段の取り組みが良いというのが大前提としてある」とも指揮官。1枠空いたDFのポジションを背番号『23』が勝ち取れるか、注目だ。

ただ、田村自身は、ラストゲームだからといって何も変わらないという。あくまで「気負わず、飾らず、なるべく平常心」を心掛ける。それはつまり、ここまで貫いてきた“田村直也”らしくあること。「1日でもサボったら、積み上げてきたものがなくなる。選手や人間の評価というのは、例えばその日しか見られなかった人にとっては、見た時のそれが、そのままその人の評価になる」をモットーに、「どんな時に来た人にも、何かを感じて欲しい」という一心でこの試合にも臨む。

唯一の心残りは、言うまでもなく「J1にあげられなかったこと」。田村には、2014年に戻ってきてから、絶えず思い続けてきたことがある。「例えば、周りから『ヴェルディって終わってるよね』とか、東京Vのサポーターがバカにされるのが絶対に嫌で。それは僕たちのせいなわけであって、僕が帰ってきた時も、なかなか勝てずにずっと過ごしてきた中でも、ずっとこうやって信じてついてきてくれている人たちがそういう風に言われるのだけは本当に嫌。自分のために戦う、という感情はもうとっくにない。それよりも、そうやって、応援し続けてくれるサポーター、クラブの努力が報われるように、来年に向けてチームが勝って終わりたい」。

引退を決めてもなお、向上心はまだまだ高まる一方だ。「最後の笛が鳴るまでそのピッチから何かを吸収したい」。絶滅危惧種とも言える“熱血漢”が、緑の戦闘服を着て闘う最後の勇姿を堪能しよう。

文:上岡真里江(東京V担当)


明治安田生命J2リーグ 第42節
11月24日(日)14:00KO 味スタ
東京ヴェルディ vs FC岐阜
味の素スタジアム(東京ヴェルディ)
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