【北九州 vs 鳥取】積み重ねがチーム力に。守護神、高橋拓也が見た北九州の軌跡

2019年11月30日(土)


前節の讃岐戦を4-0で快勝し、J2復帰を決めた北九州。この苦しい3年間を守護神として支えたのが高橋拓也(写真)だった。チームにとってのJ2復帰、高橋にとっては新たなる舞台への昇格を決めたホイッスル。その瞬間、高橋はピッチに座り込み、沸き上がる感情を静かに噛みしめた。

特別なものを手にする試合。ただ、チームが浮き足立つことはなかった。高橋はその週の練習を「いつも通りの雰囲気だった」と振り返る。

「練習の初めから普段と変わらない雰囲気があって、誰一人として浮かれた感じはなかった。年上の選手があえて促すということでもなく、いつも通りの準備をやれていた。試合前の雰囲気も、いい意味でリラックスして集中していた」

今年は、昨年の最下位を過去のものにするような快進撃が続いた。序盤戦で首位に立つと、その後も昇格圏前後をキープ。ただ、元J2勢との対戦では苦戦し、熊本や讃岐には勝ち切れていなかった。小林伸二監督はそうした「際(きわ)の戦い」の重要性を説き、チームを錬成。11月には前回対戦で敗れた熊本から勝点1を挙げ、昇格争いをする群馬には1-0で逃げ切った。

「そういう経験をして次に生かしてきたからこそ、讃岐戦の勝利や群馬戦の勝利がある。年間を通して積み重ねていくことが、本当にチームにとって意味のあることだと改めて実感した1年間だった」

讃岐戦を終えたあとの高橋は、チームの成長に自信を見せた。もっとも、今年1年だけではなく、讃岐戦では昨年の苦い経験も生きた。「自分たちも去年は上位勢との対戦に自然とモチベーションが上がっていたので、讃岐もアグレッシブに来るだろうというのがあった。そういう意味でも早い時間に先制点を挙げ、そのあとの2点目が大事だった」。得点にこそ直結しなかったが、59分には持ち前の矢のようなキックでFWにボールを通し、手数少なく相手ゴールに迫った。大事だと誓った2点目はその5分後に生まれた。

今年の北九州が志向したのは、自分たちが主導権を握るサッカー。敵陣でボールを動かすスタイルは、ともすればハイリスク、ハイリターンの大味なゲームになりやすいが、失点を抑えるための切り替えやフィジカルにも重点を置き、ローリスク、ハイリターンの戦術に変えた。

「去年、一昨年よりもラインが高く、裏のカバーも要求されるし、相手が前から来たら自分がビルドアップに加わる。リスクは伴うが、そういうことは求められている。それは楽しいし、伸二さんはいいときこそもっと伸ばそうとしてくれる」

象徴的だったのが讃岐戦の最終盤だった。15分を残して、北九州は4点をリード。仮に1失点してもひっくり返されるほどの展開になるとは考えにくく、勝利をほとんど手中に収めていた。しかし、北九州のイレブンは一切の緩みを見せず、球際に厳しく戦い、シュートを打たれてもDFがブロックに入った。高橋もファインセーブでゴールを死守する。

「J3が終わったときに、最少失点のチームのGKでありたい。個人的には、出た試合の半分くらいはクリーンシートのゲームに持って行ければと思っていた。無失点で終われて良かった」

讃岐戦の開始前の時点で高橋は28試合に出場し、クリーンシートが13試合、失点を喫した試合が15試合だった。讃岐戦の完勝でギャップは縮まり、今節はイーブンにできるかもしれない。

もちろん個人の結果はあとからついてくるもの。高橋が見ているのは、愛する北九州にJ3優勝のタイトルをもたらすことに他ならない。カテゴリーを度外視すれば、北九州のタイトル奪取は2007年の九州リーグ制覇以来、12年ぶりの栄誉となる。昇格という果実に安堵せず、高橋は次なる戦いを見据えた。

「次は優勝が決まる試合。いつも通りの準備をして、いつも通りにいい試合をして、またミクスタでみんなで喜べたらなと思います」

ホーム最終戦を、北九州のクラブ史に残る試合にしてみせる。

文:上田真之介(北九州担当)


明治安田生命J3リーグ 第33節
12月1日(日)14:00KO ミクスタ
ギラヴァンツ北九州 vs ガイナーレ鳥取
ミクニワールドスタジアム北九州(ギラヴァンツ北九州)
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