【横浜FC vs FC東京】献身性はチームで一番。守備に攻撃に仲間を助けて走り回る瀬沼優司

2020年10月17日(土)


すっかり秋も深まり、気付けば明治安田生命J1リーグも日程の2/3を消化しつつある。7月から再開して怒涛の勢いでこなされていく過密日程の中、横浜FCでチャンスをつかんだのが瀬沼優司だ。FWとしてここ3試合スタメン出場を続け、前々節の鹿島戦では先制ゴールを挙げている。

昨年と今年の序盤の彼の境遇からは、正直、今の活躍は想像できなかった。一昨年の夏に山形から完全移籍し、タヴァレス監督からは3ボランチの一角として起用されるなどプレーオフ進出に貢献したが、昨年5月にタヴァレス監督が解任され下平隆宏監督が就任すると、出番は目に見えて減り、スタメンは一度もなく、夏に皆川佑介を獲得したこともあって秋にはベンチに入ることもなくなった。

今年はさらに一美和成がチームに加わり、彼の立場はさらに厳しいものになった。185cmと体格に恵まれ、疲れ知らずの走力を持つが、決定力が高いとは言えず、前線でボールを収めたり、パスを循環させる技術に欠ける彼には、ポゼッションを重視する下平監督のサッカーで出場機会を得るのは難しいと思われた。実際、今年の開幕戦はもちろん再開戦にも彼の姿はベンチにもなかった。

ただ瀬沼自身は、「今季はキャンプから良い状態を維持できていた」という。「自分はもう若い選手ではないので、試合に出てないからといってコンディションやモチベーションを落とすことはない」。チャンスは8月に訪れた。JリーグYBCルヴァンカップJリーグの第2節と第3節でスタメン出場し、2試合ともにチーム唯一の得点を挙げ、カップ戦での勝点4獲得に貢献。その活躍を下平監督も認めた。「使うと点を取るし、守備も頑張る。チームで一番献身的な選手」。チームが5連敗していた時期でもあり、技術には目を瞑って指揮官は彼の献身を買った。

すぐに第10節・湘南戦でベンチ入りして途中出場。またしばらく出番はなかったが、第15節・FC東京戦で今季初スタメンを飾ると、第16節・名古屋戦では途中出場して決勝ゴールを挙げた。以後は2試合を除いてスタメン出場を続けている。「僕は2トップだろうが1トップだろうが、FWの選手には守備のタスクを与えるので、そこがまずできないといけない。なかなか出番がない中でも、ひたむきに頑張っていることが彼の序列を上げてきた」と、下平監督の言葉からも彼への信頼がうかがえる。

「最近、試合に絡めるようになって、自分が出られなかった時期のことを考えるんです」と瀬沼は言う。「試合に出られない選手もいるわけで、試合に出る選手は彼らみんなのぶんまで戦う責任がある」。そうした思いが彼を限界まで走らせる。攻撃では無駄走りを厭わず最終ラインの裏を何度でも狙い、守備でも前線から労を惜しまずボールを追い回し、ピンチと見るや自陣の最終ライン近くまでプレスバックして相手の攻撃の芽を摘む。その献身へのご褒美としてゴールが生まれているような気がしてならない。

瀬沼はこうも言う。「走ってもほとんどはゴールにつながらないことも多い。でも走っていればゴールにつながると、チャンスになっても、ならなくても、走りきることが大切だと思う」

今節対戦するFC東京は、瀬沼が今季初めてスタメン出場した試合の相手でもある。同点で迎えた84分、彼が放ったヘディングシュートは相手GKの好セーブに阻まれ、その直後に勝ち越しゴールを奪われて敗戦を喫した。前々節の鹿島戦でも先制ゴールを決めたが、3点目を仕留められなかったことが後半の逆転負けを招き、「後ろの選手はしっかり体を張って助けてくれている。前の選手が点を取ることでそれに応えなければいけない」と自分自身への悔しさを露わにした。守備の献身は誰もが認めるところ。ゴールでチームを助けるために、瀬沼優司は走り続ける。


文:芥川和久(横浜FC担当)


明治安田生命J1リーグ 第23節
10月18日(日)14:00KO ニッパツ
横浜FC vs FC東京
ニッパツ三ツ沢球技場(横浜FC)
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