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【名古屋 vs 仙台】その質、その量、まさに百人力。稲垣祥がもたらす攻守のクオリティ。

2020年10月23日(金)


月並みな表現しかできないのだが、恐るべき鉄人である。名古屋は現在リーグ戦24試合を消化しているが、フル出場しているのは5名。GKのランゲラック、センターバックの丸山祐市と中谷進之介はフルタイムの2160分に出場しており、彼らもまたタフなシーズンを送っているが、1試合平均で12km近くを走り抜きながら2136分を記録する稲垣祥の凄さは、フルタイムを凌駕する凄みを表現する。体力維持、ケアの秘訣は明かさないが、「今シーズンはそういったところが上手くいっている」と不敵に語るボランチは、間違いなく名古屋の屋台骨である。

周囲との連係、とりわけ守備の堅さを担保する中盤の底の関係性はすこぶる良い。米本拓司が負傷で不在にしていた間はディフェンスタスクにおいて孤軍奮闘の印象も時に強かったが、運動量、ボール奪取のパワー、ボランチとしてのバランス感覚に共通点も少なくない“相棒”の復活で、中盤守備の強度は高いアベレージを維持できていると強調する。「お互いに幅広くカバーができる特徴があるので、どっちかがボールに行ってもそのスペースをカバーしきれる。躊躇なくボールサイドのボランチがボールに行けるというのは大きい」。中央の守備を固めつつ、ボランチが相手のボールの流れを阻害しにいけるからこそ、名古屋の堅守は成り立ってもいるのだ。

ただし守ってばかりでも試合は苦しく、阿部浩之が万全でなくシャビエルも負傷離脱中のチームにあっては、ゲームメイクをどうするかは悩みどころの一つでもある。最近では米本がサイドチェンジや中距離のクサビなど展開を変えるプレーを見せるようになったが、その点で注目したいのが稲垣のダイレクトパスだ。ホームでの川崎F戦で金崎夢生の決勝点を呼び込んだワンタッチでのサイドチェンジが印象的だが、稲垣は攻撃のリズムを変え、加速させるパスが非常に上手い。トリッキーというよりは、急加速で相手に後手を踏ませるような、そして味方にアドバンテージをもたらすようなパスは、クレバーな彼らしい情報処理の賜物だという。

「例えば相手のボランチの食いつき方だとか、相手の逆のサイドバックの絞り具合だとか。そういったことはゲーム中にも見ていますし、ゲーム前にもあらかじめ情報は入れておきます。他にもゲームのテンポなどあらゆる情報を入れながら、選択はしていますね。ワンタッチで縦に入れるパスなんてのは、練習からやっているのでFWの選手はもうわかっていると思いますよ。僕がボールを持てばこのタイミングで出てくると」

日曜日の川崎F戦から中2日で横浜FM戦、そして再び中2日で迎える今節と、今週の名古屋はちょうど7日間で3試合をこなす超過密日程を戦っている。試合の合間は回復に努めるしかなく、疲労の色は濃い上に、隠しきれるわけもない。それでも稲垣は水曜日に12.721kmを走り、両チーム最多の30回のスプリントを記録してみせた。一体どれだけのスタミナが備わっているのかとただ驚くしかないハイパフォーマンスも、「自分ひとりでできるスポーツではないし、自分ひとりでやれることなんて限られている」とあくまでチームのためのもの。名古屋のために走り、守り、仲間をフォローし自らも試合を動かしにまた走る。その意志の強さは鉄どころか、黄金の輝きを放ってピッチに存在感を示す。

疲れ知らずの鉄人ボランチは、さらなる影響力をチームに見せていくつもりだ。「チームが今どういう状態にあるのかということを見極めながらゲームを進める必要がある」。その自覚、その行動力は連敗ストップを期する名古屋にとってまさに百人力。チームに“質”と“量”の両面を保証してくれる稲垣祥もまた、今季のエースの一角である。


文:今井雄一朗(名古屋担当)


明治安田生命J1リーグ 第24節
10月24日(土)14:00KO パロ瑞穂
名古屋グランパス vs ベガルタ仙台
パロマ瑞穂スタジアム(名古屋グランパス)
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