【名古屋 vs 湘南】言行一致の頼れる男。吉田豊はDFラインからチームを鼓舞する。

2020年11月20日(金)


「出てないよ!」(数原副審)、「え!?」のやり取りで前節はJリーグファンをほっこりさせた吉田豊だが、そのプレーはあくまでもストイックで、効果的だ。10月10日のC大阪戦では腰椎を骨折する大けがを負ったが、全治4週間のところを3週間で戻ってくる頑健さも見せた。重心の低いプレーは攻守で力強さと粘り強さを表現し、鳥栖時代に現在の指揮官であるフィッカデンティ監督から学んだ守備理論で無類の対人能力を誇る。それはFC東京の大看板・ディエゴ オリヴェイラを向こうに回し、ことごとくその突破を阻んだ実績が何よりの証拠だ。

吉田豊はまた、DFラインからチームをプレーで落ち着かせる重要な存在でもある。丸山祐市と中谷進之介の両センターバックが雄々しくもコーチングをチーム全体に投げかける中、背番号23はそのプレー選択ひとつで意図を伝える名人でもある。前にボールを運べるなら運ぶ、オーバーラップを空走りでも仕掛ける、ボール奪取の後の落ち着き払った振る舞いでチームに安心感を与える。金崎夢生と山﨑凌吾が不在でうかつなクリアができない現状もしっかり把握し、「攻撃につながるパスの種類はなるべく足元につけるように。クリアも蹴るなら思いきり上に蹴って、DFが処理しにくいクリアを心がけている」と明かす。

シーズンを通してあらゆる面で成長を見せるチームについても、その試合運びにおいて成長の跡が見られると年長者は語る。前節はポゼッションから相手の隙を伺うようなじっくりとした試合展開を監督は目論み、選手がその狙い通りに試合を支配し勝利をもぎ取っていたが、ボール保持の質の向上はビルドアップの始点であるDFラインにこそ実感がこもるというもの。「時間の使い方は毎試合良くなってきているとはすごく思う」。縦への速さ、速い攻撃がストロングポイントだと強調してきた今季序盤戦には苦い経験もしたが、しっかり糧にできたと吉田豊は言葉に力を込めるのだった。

「振り返ってみると最後の5分とか、立ち上がりの5分とか、ボールが途切れた時の集中力であったり。最近は引き分けで勝点を持ち帰ると割り切って、チームが一体になってやれた試合も増えてきました。その前の時期はそこを無理に自分たちでこじ開けようというか、無理にプレーしていたところがあったので、そういうところはみんなが修正して、改善できているところだと感じます」

上手く立ち回ったFC東京戦から1週間の準備を経て、今回迎え撃つ相手はよりアグレッシブに戦いを挑んでくる湘南である。前田直輝などはその前の広島戦を反省材料として、ハイプレスへの対応に意識を注いでいるところがあったが、その圧力を一番受けるDFラインの選手もまた傾向と対策は確認済みである。「前から来た相手には、基本的には1トップの選手に当てるということがあるけど、そこも前節と同じような配球を」と高さ勝負にしないことを前提に、「ウチはスピードのある選手が多いので、そういう長所を生かしたプレーをするべき」と局面をひっくり返すようなカウンターを企図すると話した。それはある意味では名古屋のストロングポイントそのままだが、FW不在や相手の特徴を踏まえた上での狙いであるからこそ、対湘南の立派な戦略として機能する期待感が湧いてくる。

そして吉田豊もまた、そのスピーディーな攻撃に参加することを望む。「厚みのある攻撃をするというのはどの試合でもやるべきことで、後ろの選手に後ろのスペースは任せて、チャンスがあればそこに飛び込む」ことは、常に彼の頭の中にある自らの役割だ。ダイナミックなボール運びも見所の一つで、そこにも「一番最初の選択肢としてはクロスやシュート、ゴールに直結するパスをいつも狙っている」という積極性が息づいている。サイドバックながら今季は2得点。技巧的な2発に続く3発目が生まれれば、チームには素晴らしく勢いもつく。

残り5試合のすべてに勝利し、3位以内でAFCチャンピオンズリーグ出場権獲得、できれば2位で天皇杯出場も決めたいチームには、「ここからは引き続きというより、もう一つギアを上げて」とラストスパートを求めた。言わずもがな、言行一致の副主将である。真っ先にギアを上げ、フルスロットルで試合をつかみにかかる姿は、湘南とのホームゲームでも容易に想像がつくというものだ。


文:今井雄一朗(名古屋担当)


明治安田生命J1リーグ 第28節
11月21日(土)17:00KO 豊田ス
名古屋グランパス vs 湘南ベルマーレ
豊田スタジアム(名古屋グランパス)
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